海外ステップに夢実現

2010年5月14日


ヘアークリエーター 石川正幸さん

 県出身の山田優さんら華やかなモデルたちが最新のファッションに身を包み、ランウェーを華麗に歩いていく。4月、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた東京ガールズコレクションin沖縄にモデルたちの”美”を裏から支える県出身者がいた。ヘアメーククリエーターの石川正幸さん(39)=北谷町=だ。

 「ショーは服がどう見えるかが勝負」。演出や照明などのバランスを見ながらヘアを作り上げる。時に大きく、時に繊細に、はさみを動かしていく。

 「ファッション誌やショーの仕事がしたい」と美容業界に飛び込んだ石川さん。転機は2000年、30歳の時だった。激戦区・原宿のサロンで店長を務めていた。華やかなイメージと裏腹に地味な努力が求められる世界。がむしゃらに技術を磨く忙しい日々の中で忘れかけていた目標を思い出し、店を辞めて単身パリに渡った。

 パリで出会った仲間たちは「自己主張が強く、自分に自信を持っていた」。毎日が刺激的だった。パリ・コレにも携わることができた。

 帰国後は東京を拠点に活動。「VOGUE」「ELLE JAPON」など、ファッション誌を飾るモデルを手掛けた。MAXや長谷川京子ら女優やアーティストも担当した。2007年、北谷町に「emni」(エムニ)を開店。「こういう華やかな世界があることを沖縄でも伝えたい」。世界で培った技術を武器に故郷・北谷から美を発信していく。


 小さい時から母・幸子さんの営む理容室を手伝っていた石川さん。18歳で家を出るまで、ずっと母親に髪を切ってもらっていた。中学生の時、男子は全員丸刈りにする決まりだったが「自分だけは丸刈りにするのが嫌で前髪を伸ばしていた」。常に”かっこいいもの”に興味があったが、自分が理容師・美容師になるとは思っていなかった。18歳の時、進路が決まらないまま訪れた東京・原宿で美容室を見て「かっこいい。自分が進む道はこれだ」と確信した。

 「大変な世界だから」と反対する母親を押し切って沖縄の美容学校入学。母の言う通り、地味な作業が多い大変な世界だった。卒業後、1年間のインターンシップ(就業体験)を経て試験に合格し、ようやく手に入れた美容師免許は輝いて見えた。